行政書士事務所ヤマジン

 第5回 障害福祉サービス事業の基礎のキソ⑤(設備基準)

設備基準

 おおまかに言って、始めようとしている事業が利用者の滞在を予定しているものかそうでないかによって、求められるレベルが違います。当然、滞在を予定している事業所の方が詳細な確認を受けます。

(設備及び備品等)
第八条 指定居宅介護事業所には、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けるほか、指定居宅介護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。
2 前項の規定は、重度訪問介護、同行援護及び行動援護に係る指定障害福祉サービスの事業について準用する。

引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov法

(設備)
第八十一条 指定生活介護事業所は、訓練・作業室、相談室、洗面所、便所及び多目的室その他運営に必要な設備を設けなければならない。
2 前項に規定する設備の基準は、次のとおりとする。
一 訓練・作業室
イ 訓練又は作業に支障がない広さを有すること。
ロ 訓練又は作業に必要な機械器具等を備えること。
二 相談室 室内における談話の漏えいを防ぐための間仕切り等を設けること。
三 洗面所 利用者の特性に応じたものであること。
四 便所 利用者の特性に応じたものであること。
3 第一項に規定する相談室及び多目的室は、利用者の支援に支障がない場合は、兼用することができる。
4 第一項に規定する設備は、専ら当該指定生活介護事業所の用に供するものでなければならない。ただし、利用者の支援に支障がない場合はこの限りでない。

引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov法

(設備)
第百八十八条 指定就労継続支援A型事業所は、訓練・作業室、相談室、洗面所、便所及び多目的室その他運営上必要な設備を設けなければならない。
2 前項に規定する設備の基準は、次のとおりとする。
一 訓練・作業室
イ 訓練又は作業に支障がない広さを有すること。
ロ 訓練又は作業に必要な機械器具等を備えること。
二 相談室 室内における談話の漏えいを防ぐための間仕切り等を設けること。
三 洗面所 利用者の特性に応じたものであること。
四 便所 利用者の特性に応じたものであること。
3 第一項に規定する訓練・作業室は、指定就労継続支援A型の提供に当たって支障がない場合は、設けないことができる。
4 第一項に規定する相談室及び多目的室その他必要な設備については、利用者への支援に支障がない場合は、兼用することができる。
5 第一項に規定する設備は、専ら当該指定就労継続支援A型事業所の用に供するものでなければならない。ただし、利用者の支援に支障がない場合はこの限りでない。

引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov法

(設備)
第二百十条 指定共同生活援助に係る共同生活住居は、住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ、入所により日中及び夜間を通してサービスを提供する施設(以下「入所施設」という。)又は病院の敷地外にあるようにしなければならない。
2 指定共同生活援助事業所は、一以上の共同生活住居(サテライト型住居(当該サテライト型住居を設置しようとする者により設置される当該サテライト型住居以外の共同生活住居であって、当該サテライト型住居に入居する者に対する支援を行うもの(以下「本体住居」という。)と密接な連携を確保しつつ、本体住居とは別の場所で運営される共同生活住居をいう。以下同じ。)を除く。以下この項、第四項から第六項までにおいて同じ。)を有するものとし、当該共同生活住居及びサテライト型住居の入居定員の合計は四人以上とする。
3 共同生活住居の配置、構造及び設備は、利用者の特性に応じて工夫されたものでなければならない。
4 共同生活住居は、その入居定員を二人以上十人以下とする。ただし、既存の建物を共同生活住居とする場合にあっては、当該共同生活住居の入居定員を二人以上二十人(都道府県知事(指定都市及び中核市にあっては、指定都市又は中核市の市長。第二百十条の七、第二百十三条の六及び第二百十三条の十において同じ。)が特に必要があると認めるときは三十人)以下とすることができる。
5 既存の建物を共同生活住居とした共同生活住居を改築する場合であって、都道府県知事が特に必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、当該共同生活住居の入居定員を二人以上三十人以下(ただし、当該共同生活住居を改築する時点の入居定員と同数を上限とする。)とすることができる。
6 共同生活住居は、一以上のユニットを有するほか、日常生活を営む上で必要な設備を設けなければならない。
7 ユニットの入居定員は、二人以上十人以下とする。
8 ユニットには、居室及び居室に近接して設けられる相互に交流を図ることができる設備を設けることとし、その基準は、次のとおりとする。
一 一の居室の定員は、一人とすること。ただし、利用者のサービス提供上必要と認められる場合は、二人とすることができる。
二 一の居室の面積は、収納設備等を除き、七・四三平方メートル以上とすること。
9 サテライト型住居の基準は、次のとおりとする。
一 入居定員を一人とすること。
二 日常生活を営む上で必要な設備を設けること。
三 居室の面積は、収納設備等を除き、七・四三平方メートル以上とすること。

引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov法

 たとえば生活介護、就労継続支援等、利用者が通所する事業所には、「訓練・作業室」の配置が必要です。
利用者一人当たりの床面積が定められ、それに定員を掛けて基準を満たす面積を出します(なお、内寸です)。
 一人当たり2㎡を最低基準している自治体もありますが、多くは3㎡ないし3.3㎡です。実際、2㎡だと移動したりする動線を考えると相当狭いです。定員20名とすると、60㎡か66㎡はほしいところです。

 児童発達支援や放課後等デイサービス事業所では、一人当たり2.47㎡以上(自治体によっては3㎡)求められます。
 床面積については、その計算式まで確認されるので、自治体に求められる床面積を確認し、該当する部屋を一度は実測することをおすすめします。

(設備)
第九条 指定児童発達支援事業所(児童発達支援センターであるものを除く。)は、発達支援室のほか、指定児童発達支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。
2 前項に規定する発達支援室は、支援に必要な機械器具等を備えなければならない。
3 第一項に規定する設備及び備品等は、専ら当該指定児童発達支援の事業の用に供するものでなければならない。ただし、障害児の支援に支障がない場合は、この限りでない。

第十条 指定児童発達支援事業所(児童発達支援センターであるものに限る。以下この条において同じ。)は、発達支援室、遊戯室、屋外遊戯場(指定児童発達支援事業所の付近にある屋外遊戯場に代わるべき場所を含む。)、医務室、相談室、調理室、便所、静養室並びに指定児童発達支援の提供に必要な設備及び備品等を設けなければならない。
2 指定児童発達支援事業所において、治療を行う場合には、前項に規定する設備(医務室を除く。)に加えて、医療法に規定する診療所として必要な設備を設けなければならない。
3 第一項に規定する設備の基準は、次のとおりとする。
一 発達支援室
イ 定員は、おおむね十人とすること。
ロ 障害児一人当たりの床面積は、二・四七平方メートル以上とすること。
二 遊戯室 障害児一人当たりの床面積は、一・六五平方メートル以上とすること。
4 第一項及び第二項に規定する設備は、専ら当該指定児童発達支援の事業の用に供するものでなければならない。ただし、障害児の支援に支障がない場合は、第二項に掲げる設備を除き、併せて設置する他の社会福祉施設の設備に兼ねることができる。

引用:児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov法

 相談室は多目的室等と兼用できますが、その場合プライバシー確保のための間仕切り等が必要です。また、洗面所やトイレなどの水場では感染症対策のアルコール消毒液等を準備しておきましょう。

 事務所には執務のためのパソコン、コピー機、プリンタ等とともに、個人情報を厳重に管理するため、鍵の付いた書庫が必要となります。

 エアコンの設置については義務付けられているものではありませんが、利用者としてはあって当然と考える方が多いので、事実上必置であるといえます。

 消火器は、事業所に応じて必置でない場合がありますが、初期消火の手段としては設置しておいた方がいいでしょう。また、自動火災報知設備が必要となる場合、開業のスケジュールや費用が大きく影響するので消防署や設置業者の方とよく相談してください。

(消火器具に関する基準)
第十条 消火器又は簡易消火用具(以下「消火器具」という。)は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする
一 次に掲げる防火対象物
イ 別表第一(一)項イ、(二)項、(六)項イ(1)から(3)まで及び、(十六の二)項から(十七)項まで並びに(二十)項に掲げる防火対象物
ロ 別表第一(三)項に掲げる防火対象物で、火を使用する設備又は器具(防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたものを除く。)を設けたもの
二 次に掲げる防火対象物で、延べ面積が百五十平方メートル以上のもの
イ 別表第一(一)項ロ、(四)項、(五)項、(六)項イ(4)、及びニ、(九)項並びに(十二)項から(十四)項までに掲げる防火対象物
ロ 別表第一(三)項に掲げる防火対象物(前号ロに掲げるものを除く。)

引用:消防法施行令|e-Gov法

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