第2回 刑務所にスポットがあたること

刑務所

 ドラマ「看守の流儀」が6月21日(土)からはじまりましたね。

 元刑務官としては大注目です。かって、海上自衛隊で勤務していたこともあるのですが、「海猿」が大ヒットして、「海上保安官」とよく間違えられていたことを思い出しました。なぜなら、海上自衛隊の方が知名度は上だったため、ドラマの力は世の中の認識を書き換えるすごい力があると驚かされたからです。しかも、今回主演は竹内涼真さんということで、腰を抜かしかけました。

 さて、刑務所の収容者の状況ですが、最近は受刑者の収容数が減っているものの、高齢化率は右肩上がりです。

(出典:令和6年度犯罪白書)

 そして、刑務所、少年院とも精神障害などの生きづらさをかかえた人が高い割合でいます。

(出典:令和6年度犯罪白書)

 刑務所であれば、高齢者や障がい者の受刑者は特定の工場に入って軽作業などを行い、刑務官は服薬管理や介助係の受刑者の指導など、ほとんど福祉施設職員のような動きをします。

 少年院では、発達に支障のある傾向を持つ在院者は、特定のプログラムに参加してトレーニングを行います。それを指導する法務教官は発達に関する理論を日夜追い続けて実践しています。

 こういった施設内の実情は、ニュースではたびたび取り上げられる問題ですが、矯正施設(刑事施設と少年施設)ではとりわけこの問題に対して力を入れて取り組んでいます。収容された以上、そこでその受刑者は生活をしなければいけないわけですから、それを事故なく行い社会復帰につなげるために刑務官・法務教官は心血を注ぐわけですね。

 矯正の世界はあまり人が目を向けないため、どんな仕事があるのか、どんな苦労があるのか、警察官や消防官と比べて見えてこないことが多いです。「看守の流儀」はドラマなので、実際にはありえないことも当然含まれていますが、このドラマをきっかけに、あまり日の当たらなかった矯正に興味を持ってもらえるきっかけになれば、とてもうれしいです。

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