ビジョン
事務所のビジョンは、「大切なものを守るためのご支援」です。これは私の個人的な2つの経験から生まれたものです。
私の実家は古くは果樹栽培と林業を生業として、広い農地や山を所有していましたが、父の代になるころには耕作面積を相当縮小して兼業農家となっていました。そのようなとき、父親が事業に失敗して借金を作り、その肩代わりに農地や山林を多く失ってしまいましたが、その気になれば専業農家として自立できる程度の広さは十分に残っていました。ただ、父には農地をどのようにしたらいいのか、活用するべき方法を知らず、規制に関して知識も少なく、失意のただ中で、とても再起を図るような気力は残っていませんでした。私は、そのころの父の年齢に近づく今、父の背中から感じた父の気持ちがとてもよくわかります。
大学生の頃、祖父が他界し相続が発生すると、父と親族の間で遺された農地の分割をめぐって深刻なもめごとが起こりました。田舎の農家ですから、財産の散逸を防ぐため、長男が少なくとも土地はすべて相続することが当たり前とされていましたが、父のそれまでの行動を親族たちは問題視し、無理やり土地を細かく切り分けてしまったのです。農業としての効率性をまるで無視した分割であったため、父に残された農地は、小さく散り散りとなり、たとえ父が一念発起したとしても、農業を自営して続けられるような状況ではなくなってしまいました。このことが原因で親戚とは一切親交がなくなり、父は最後までそれを無念として許さずにいました。当時、父を失敗者と決めつけ、好き勝手にものごとを進める親戚一同に対して、なにもできなかった自身の無力さを今でも思い出します。この出来事によって、「大切な財産であるはずの農地は、活用されていなければだれにも大切に扱われない」ということを強く胸に刻みこまれました。
もう一つは、前職の法務教官として少年院で働いていたころ、発達に課題のある少年たちと多数接してきました。発達に課題があるといっても、その特性となるものは実に多様です。感情のコントロールが苦手な子もいれば、特定の対象(モノ、ヒト、手続き)へのこだわりが強すぎる子もいます。また、落ち着きがなく場の状況に合わない発言や行動をしてしまう子も珍しくありません。しかも、少年鑑別所で初めて診断を受け、ようやく自分の特性に気づく例も多々ありました。また、親は子どもがそうであることを認めることができないという少年を取り巻く環境への課題も目のあたりにしてきました。
彼らの生育歴を振り返ると、発達に関してなんらかの課題を感じさせる言動が幼少期から現れえているというケースはけっこう多いです。早い段階で周囲が気づき、適切に支援を開始できていれば、少年院に来る事態を避け、こうやって家族が離れ離れにならずに済んだかもしれないと思うことは少なくありませんでした。実際に、発達障害のある子どもへの早期発見、早期介入は、社会適応や将来の進路に大きくプラスの効果をもたらす国内外の研究も認められます。
2つの大きな経験から、私は「農地」という可能性に満ちた資産を守り活かすためのお手伝いと、「障がい」に対して適切な介入ができる環境づくりに貢献できる行政書士として、「想い」を持った方の手続面や制度面を支えていきたいと思うようになりました。困っている方に寄り添い、未来の可能性を広げる一助となる事務所でありたいと願っています。